最高裁判所第一小法廷 昭和55年(あ)576号 決定 1980年9月24日
本店の所在地
広島県呉市朝日町八番一七号
法人の名称
東進商事株式会社
代表清算人の住居・氏名
広島県呉市阿賀中央六丁目八番一六号
村本勇
本籍
広島県呉市阿賀中央六丁目三八三三番地
住居
同 安芸郡坂町三三四三番地の一一
歯科技士工
村本宏
昭和七年一月一〇日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、昭和五五年二月二八日広島高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人らから上告の申立があったので、当裁判所は、次のとおり決定する。
主文
本件各上告を棄却する。
理由
弁護人岡秀明の上告趣意は、事実誤認の主張であって、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
よって、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 藤崎萬里 裁判官 団藤重光 裁判官 本山亨 裁判官 中村治朗 裁判官 谷口正孝)
○昭和五五年(あ)第五七六号
上告趣意書
被告人 東進商事株式会社
代表清算人 村本勇
被告人 村本宏
右被告人らに対する各法人税違反被告事件について、被告人らが上告を申立てた趣意は左記のとおりです。
昭和五五年五月七日
被告人ら両名右弁護人 岡秀明
最高裁判所第一小法廷 御中
記
広島高等裁判所は公訴事実をほゞ認め被告人東進商事株式会社に対し罰金八〇〇万円被告人村本宏に対し判示第一につき懲役五月に、判事第二につき懲役五月に各処したが右判決は左記のとおり判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反し、刑事訴訟法第四一一条三項に該当するものと思われますので上告を申立た次第です。
即ち、
(第一事実についての事実誤認)
一、 原判決は被告人東進商事株式会社(以下被告会社という)仕入代金公表計七、五〇〇万円のうち二、八〇〇万円を架空仕入であると認定したのは左記証拠により事実を誤認したものである。
二、 即ち、紀和水産株式会社が京都中央ガレージ株式会社から代金七、五〇〇万円で買受ける旨を土地売買契約書の存在。
三、 被告人村本の一審における供述(記録二六六二丁以下二六七一丁裏以下)。
四、 被告会社は本件土地代金四、五〇〇万円以外にも、額面一、三七〇万円、同一、二〇〇万円の約束手形計二通を代金支払いのため振出し久保健太に交付している事実(記録二二七八丁、同二五〇四丁、同二八〇一丁)。
(第二事実についての事実誤認)
一、 原判決は被告会社が大東希見に売却山林の代金三、〇〇〇万円について同人がいわゆる遁刑者であって、右代金取立不能であるから貸倒損失とみるべきであるのにこれを認めなかったのは事実が誤認したものである。
二、 即ち原判決は貸倒損失として認められる一般的な判定基準として「会社更生計画の認定決定云々」と判示し、責務者の行方不明の事実は含まないとして本件の場合貸倒れ損失と認定すべきでないとしたのは事実を誤認したものである。(水戸地裁昭和四八年一一月八日判決 判例タイムズ三〇三号二三五頁参照)
以上